目先を変えてみれば

賃金の安いエントリー・レベルの若い世代が就職に苦労しているのですから、退職後にそれまでとあまり変わらない賃金や職場環境を維持しようということ自体、そもそも無理があるのかもしれません。勤めていた企業名や役職名にこだわり、高齢者にも機会の与えられているような職種(例えば、ビルの管理人や用務員、清掃業など)に対する蔑視や偏見、世間体などもあり、無いものねだりをするから再就職が難しいのではないでしょうか。どのような再就職先を選択したにせよ退職前と同じ収入を期待するのは難しいわけですから、今までの経験や実績はひとまず終了として、全く目先を変えて人生の再出発を試みるのも1つの方法かもしれません。
私はかなりの映画マニアでほとんど毎週のように映画館に出向くのですが、よく行く映画館の1つには、どう見ても70歳前後という年齢の男女が数人働いています。中でもいつも正面の「もぎり」をやっている白髪の白人男性、ハワードとは時々言葉を交わすのですが、彼は長年高校の歴史の先生をしていました。63歳で退職を決め、大好きな映画にいつも接していたいからと、今の職場に再就職したのだそうです。おかげで次から次へとリリースされる最新の映画をほとんど全て見ているようで、いつも明るくはつらつとしています。もちろん決してネタバレするようなことは口にしませんが、私は入退場する時の彼との気のきいた会話を楽しみにしています。彼を見ていると、世間体など気にせず、好きなことを誇りを持って新たに始めてみるのも、60歳以降の再就職のヒントなのかもしれないという気がします。

本当に好きなこと始めてみように+1 !

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